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■備前焼とは |
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備前焼は岡山県備前市を中心に焼かれているやきもので、うわぐすり・釉薬を施さない、無釉焼き締めの陶器です。
その歴史は須恵器(古墳時代)にまでさかのぼることができます。
およそ1000年の長い歴史の中で、その時代時代のニーズに応えながらも、一貫して備前周辺で取れる陶土を用い、割木での窯焚き、無釉で焼き締めるという基本的なスタンスを崩さずに守り通してきました。備前では今も窯の火がたえることはありません。
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■材料となる土 |
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土は備前市周辺で取れます。山で採れる『山土』と田んぼの下の地層から採れる『田土』です。この地域の粘土は特殊な特徴をもっていて、硬く焼き締まり、焼く時の化学反応によって白〜赤、黄、青、金、銀、黒と、バリエーションに富んだ発色が望める土なのです。このような土が安定して採れることは全国的にも珍しく、備前焼が長い間、無釉焼き締めを通して来られたのは、この土のおかげだといえます。昔から備前では「一土、二窯、三細工」と言われるほどに、土づくりに多くの労力と時間を割いています。
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■焼く |
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陶芸技術の発達したガス窯や電気窯全盛の現代にあって、備前ではいまだに薪を燃料とした登り窯・窖窯(あながま)がほどんどです。
備前焼は、土を焼くという極めて単純な工程だけに、その複雑な焼き色と、土の質感を得るためには、どうしても薪窯による長い焼き込みがなくてはなりません。
当店では、13メートルの半地下式窖窯(あながま)を、およそ13日間かけて焚きます。松割り木にして約1500束を使用します。多くの時間と燃料、人手を要する備前焼の窯焚きは一つのチームプロジェクトと言えます。窯主のねらいを汲みながら皆で協力して焼き上げます。多くの経験と知識がものをいいます。
すべてはその土肌の質感、複雑な色のグラデーション、より良い豊かな本物のやきものを焼くためです。
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■暮らしに寄り添う備前焼を |
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わたしたちは、これら多くの歴史と人々に支えられ、蓄えられたノウハウ、技術を踏まえながらも、現代のニーズにこたえる器づくりを模索しています。
手仕事にのみ可能な丁寧で誠実な仕事
現代の暮らしに寄り添う備前焼
をデザイン、提案します。
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◆備前焼の色いろいろ◆
備前焼の窯変の原理は、どのように土が化学反応を起こし、どのように土の中の金属元素が発色するのかに尽きます。それをあくまでも、厳選された原土からの土作り、窯の様式や、窯の作品の詰め方など、間接的に手をかけて、焼成によって発現させる、それが備前焼の神髄ではないでしょうか。
窯変のための要因にはさまざまな素材、状況と、そのバリエーションが存在します。それらが複雑に絡み合いながら化学反応を起こし、焼成され、一つの器を作り上げていくのです。成形の際の一工夫によって同じ窯変が全く違う印象で焼きあがることもあります。それらは、全く偶然ではなく必然なのです。
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◆ゴマ◆
薪を燃料とした窯では、焼成中に薪の灰が器物に降り積もります。その灰は土と反応し、高温で釉化(ガラス化)します。これが「自然降灰釉」です。備前ではこれをゴマを振りかけたものに例えて昔からゴマと呼んでいます。
ゴマの作品を見る |
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◆白ゴマ◆
ゴマの中でも白いゴマになるものです。これは穴窯の正面でしか取れない希少なものです。耐火度の高い粘土と、大量の降灰、強烈な炎、との見事な融合でもあります。
白ゴマの作品を見る |
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◆カセゴマ◆
ゴマの中でも、特に融けきらずに焼きあがったものを「かせゴマ」といいます。ざらざらの状態になったりものを単にかせゴマといい、中でも釉ちぢれになったものを「メロン肌」ともいい、珍しがったりします。
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◆玉ダレ◆
ゴマの完全に融けて、筋になって垂れたものを、特に「玉だれ」といいます。応安四年(1371)今川了俊の『道ゆきぶり』、「かゞつ(香登)といふさとは、家ごとに玉だれのこがめと いふ物を作るところなりけり」という記述は有名
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◆コゲ◆
灰がかなり厚くかかったものは、反応が進んでいても、表面がごつごつと黒く発色するものがあります。焦げたように見えるので焦げと呼びます。灰が黒く焦げ付いたような質感で発色したものをすべてコゲと呼ぶようです。
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◆被せ焼き◆
徳利などの上にぐいのみなどを被せて焼くと被せた部分は灰かからないので地肌のままです。これを被せ焼きと呼び、その色違いの模様はインパクトがあります。 |
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◆ボタモチ◆
備前では、よくお皿などの上に耐火度の高い土をせんべい状にしたものをのせて、さらにその上に他の物を乗せて焼きます。せんべいを乗せたところは灰がかからず丸い抜けができ、それを特に牡丹餅といいます。 |
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◆抜け◆
窯の中で作品の詰め方により、部分的に灰や煤が着きにくい場所ができ、そこは色が抜けたように地肌そのままにやきあがります。そういったものはすべて抜けといいます。大きい作品の前に小さい作品をくっつけて詰めた場合、耐火度の高い土の、せんべい状のものを意図的に立てかけた場合など。灰がかからずに抜けができます。
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◆ヒダスキ◆
作品に藁を巻いて焼くと、藁の成分と土が反応して赤く発色します。元々は作品同士がくっつくを防ぐのに耐火度の高い藁を挟んでいたのが、模様になったものです。灰が乗らないようにサヤを被せて焼く赤白の写真のようなものが代表的ですが、窯や詰め方、焼け方によって、色は、赤、暗い赤、銀、金黒とさまざまです。藁によって着く発色はすべてヒダスキとよびます。
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◆紫蘇色あるいは緋色◆
備前焼の登り窯では、還元焼成により、赤茶色〜赤紫色がよく取れます。これを紫蘇色といいます。穴窯においては、酸化焼成の為、登り窯に比べて明るい緋色の焼けが多くとれます。 |
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◆自然サンギリ◆
登り窯のスアナ(窯の部屋同士をつなぐ穴)や窯の床に置いた作品が、灰や熾きに埋もれて、埋もれた部分が色変わりとなり、派手な景色ができます。桟の切れた所でとれたから、らしいのですが、桟切りとよびます。人工サンギリ(独立連房式登り窯の炭サンギリ)に対して、穴窯の中の自然な熾きに埋もれて出来たものを自然サンギリといいます。
サンギリの作品を見る |
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◆コロガシ◆
窯の床で、完全に灰に埋もれるところに転がして入れた作品は、転がす際にクッションに使う土の後もはっきりと派手に色が出て独特の模様になります。景色がすべて窯変である備前焼の中でも、特に激しく窯変しているので、備前焼で窯変といえば、このコロガシのことを指します。寝かして入れること、投入した薪が落ちるところに入れることから、大きい変形や切れ、他の作品や窯との融着が多く、一回の窯で数が取れないので、特に珍重されます。
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◆石ハゼ◆
粘土に含まれる石が焼成中に粘土の収縮差によって爆ぜて顔をのぞかせるものです。普通傷にも見られそうなものですが、備前焼の美学ではそのような自然のアクシデントが産む景色に、特に美を見出したのです。逆にコンテンポラリーな感覚ですね。 |
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◆青備前◆
火に直接当たらず、強還元状態になり、また冷却還元になったものは、全体が明るい青〜青〜黒に焼けあがります。これを青備前といい、数ある焼き色の中でもコロガシにならんで数が少なく珍重されます。
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◆金・銀◆
桟切りなどの景色の切れ目や、青備前のヒダスキ部分などが、金色や銀色に輝いて発色することがあります。これは表面にグラファイトの層(炭化?)ができること、水分(水素還元?)、冷却還元が関係しているらしいですが、調べ中です。特に意図的に金を取ることもできるようです。 |
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◆黒備前◆
鉄分の多い粘土を、ある程度の高温で焼成すると、黒い作品ができます。また器の表面に黒くなる粘土を泥状にして塗り、焼き上げたものもあり、伊部手(いんべで)とも呼ばれます。穴窯で多く用いられる技法です。
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